ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「気候文明史」田家康

私の持論なんですが、地球温暖化は人間のせいだといってCO2がどうとか騒がれていますが、


「人間ごときが地球の気候システムを変化させるようなインパクトを与えることができるか!思い上がるな人類!」


と思っています。割と本気で。だから地球温暖化が人為的なものであるということに基づくビジネスや国際的な取り決めは、大国の利益が絡んでるな~と思って冷淡に見つめています。


何を根拠にと思われますが、地球の歴史を勉強すれば一目瞭然、地球の気温やCO2濃度は地球誕生から何十万年何百万年何億年という単位でがらりと変わっているからです。例えば、温暖化というのは突然やってきたりすることもずっと前から知られています。


地球は自律サイクルを持つ一種の生き物なのですよね。その中で、恐竜を生み出してみたり、人類を生み出してみたり、いろんなことをしているわけです。また、太陽と地球の関係も地球の誕生からいろいろと変わっていて、例えば地球は太陽の周りを円形に回っていますが、時には楕円になったり、もっとわかりやすくは地軸がもっと傾いたり元に戻ったりするわけです。そういうことが原因で、気候というのはすぐに変わってしまいます。


まあ、そういう持論があって、手に取ったのは、気候と文明に関する本書です。2010年出版、最近の知見も取り入れた、人類の発生から眺めた気候と人類の関係のようなものです。


持論を長々と書いてしまったので、本書の感想は短めに。
人類の祖先が現れた700万年前からの地球の様子が書かれています。科学技術の進歩ってすごいですよね、氷床コアだけではなく、堆積物の微量元素からも、当時の大気の様子、太陽の様子などを知ることができます。
温暖なところで生活をしていた人類の祖先は、寒冷な氷河期がやってきて淘汰され、残ったものは知恵をつけて生き延びていきます。今の人類の祖先はそうやって現れた、進化した人類だったわけです。


昔は、北米大陸にでっかい氷がありました。氷があると、太陽熱を反射してしまい、太陽からの熱を地球は吸収しません。各地に氷河があると、熱を逃がしてしまって、そのせいで地球は寒冷化に向かいます。するとさらに氷河が広がり、白い土地が増えて、太陽光を反射してしまう。寒冷化のフィードバックがかかるのです。
でも、何かの機会にその氷が溶けだしたら。今度は黒い土地が太陽の熱を吸収するようになってしまう。草原や森林ができたら太陽熱を吸収してどんどん温暖化してしまいます。温暖化のフィードバックがかかるわけです。
今はその北米の氷はほとんど溶けてしまい、寒冷化傾向よりは温暖化傾向にあるといえます。でもいつまたそこに氷ができてもおかしくないのです。


そんな地球のバランスの些細な合間に人類の文明が生まれました。奇跡みたいなものです。


海流も、文明に影響を及ぼします。寒冷化すると、赤道あたりで温まった海流が高緯度に行かないのです。これで極域は寒くなります。暖かくなると、赤道あたりで温まった海流が極域まで行って高緯度も温暖な土地となります。


地球の長い夏が終わった8万年くらいに文明らしいものが発達し、そのころから気候がどのように変わってきたかということがいろいろ書かれています。小氷河期や、火山の爆発による寒冷期、太陽活動が活発になったことによる温暖期や逆に太陽活動が極小になったための寒冷期、いろいろな自然のサイクルの中で人間は生き延びてきました。


例えば、今のサハラ砂漠には昔はもっと人が住んでいました。時代を経てだんだんそういう人たちはナイル川のほうに集まってきてエジプト文明の担い手になるのですが、今でも砂漠に埋もれた遺跡が見つかることがあるのだそうです。どうして住めたのか。雨が降る緯度が、太陽活動、海流活動などにより変化したためです。


20世紀の地球温暖化に関しても、最後のほうに詳しく出ていました。1970年代までは「地球は寒冷化する」という理論が結構あったそうです。70年代生まれの私の記憶でも、子供のころは夏は最高気温が30度くらいだった気がします。
その前にも、20世紀は寒冷化がありました。1900年から1920年にかけて、それから1945年周辺です。戦争と気候の変化というのは、20世紀ではなくても結構関係はあるそうで、文明の衰退も、気候と関連付けられています。


この本はちょっと専門的で、気象や気候をちらっとかじったことがある人向けです。普通に年代測定の話が出てきます。あと太陽の黒点の話とか(黒点が増えると太陽活動が活発なのはなぜかとか)、基本的な大気循環(ハドレー循環、ウォーカー循環)気候的な現象(エルニーニョ、北極振動)、地球規模での海流の基礎知識(そういう地図を載せていてくれたら助けになったけれど、一般的にどこにどういう海流があるか、文字だけではわかりにくい)、あとは世界史の概略ですかね。


地球という一つのシステムが、生き物のように体調不良に陥ったり、元気になったりして、その時々で、その環境にふさわしいたくさんの生物を抱えているようです。地球が持っている自律的な呼吸があり、ランダムに地球の気候は変化しています。太陽との距離や軌道の形、地軸の変化は計算できますが、太陽自体の健康状態までは計算できず、そしてその太陽の健康状態に地球は大いに影響を受けるのです。


そんな複雑でおおざっぱで微妙な歴史のほんの数千年(最初の文明から8万年くらい)、人類が地球の覇者にたまたまなっているだけに過ぎないのです。そして温暖化…確かに急激に温暖化傾向は強まっているかもしれませんが、これだって、地球の呼吸が乱れれば、突然寒冷化に代わることも十分ありうるのです。


人間は環境破壊はするけれど、それは生物の持っている本能です。人間以外の生物でもたくさん環境破壊をして、中には自滅したりしています。生物ごときが地球の気候を変えたりはしていないのです(例外として森林が多くなると温暖化傾向になるとかそういうことはありますが、それも単なる光の反射率の問題です)。


まあ、極論すれば地球はCO2の多い待機だった時期が長かったわけですからね、酸素がこれだけあるのは、宇宙人から見たらとても劣悪な環境だろうといわれています(酸素はものをすぐに錆びさせるので、実はそんなにありがたいものではないのです)。


今度は生物の歴史についての本も読もうと思って買ってあります。
植物は、唯一地球の歴史の中で、大気に大変革をもたらしました。酸素の増加です(これによってオゾン層ができて紫外線が到達しなくなり、地上の繁栄の時代が来るのです)。でも今この現在でも、嫌気性生物は存在し、酸素がなくても生きていく生物はいるのです。これも面白い話ですね。


でも次は文学作品を読みます。

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