ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「いちばんわかりやすい北欧神話」杉原梨江子

北欧神話はラグナロクとかオーディーンくらいしか聞いたことがなかったので、簡単な入門書を読んでみようと、一番わかりやすいシリーズで買ってみました。


私のイメージでは、北欧神話世界には、いっぱい神様がいて、巨人族がいて、人間もいて、そんな多神教的世界で、戦いを好み、戦って死んだらヴァルハラへ行けるというイメージ。ラグナロクで主な神様や巨人がみんな滅んでしまうという壮大なストーリー。


神族や巨人族の系譜が添付されていたりして、面白く読めそう。と思って手に取りました。本の構成が面白かったです。最初に序章で北欧神話とは何かということに触れられていて、いつ頃成立したか(いわゆる神話の中では世界で一番新しいんじゃないか?)、木の崇拝、世界の始まりから世界の終りまで、滅びの美学について書かれていて、今まで私が持っていた北欧神話のぼんやりとしたイメージがここでもうちょっと形になってきます。


エッダやサガというのが、北欧神話を伝える物語になっています。エッダは12世紀ごろに成立したもので、それまでの口承伝説を書き表したものですが、さてではその言い伝えはいつ頃成立したのか、よくわかりません。サガはいろいろありますね。北欧神話は、アイスランド人のサガや伝説的サガの中に伝わっています。


最初の章は北欧神話の世界観についてです。最初、何もないところから、ユミルという巨人が発生し、それがバラバラになることで天地創造が行われるようです。例えばバラバラになったユミルの頭蓋が天蓋(天空)になったり、大地はユミルの肉から作られたりするのだそうです。
そんな世界の真ん中には一本の木が立っていて、それを宇宙樹ユグドラシルと言います。地上には巨人族の住処、神族の住処、人間の住処などがあります。神族はアースガルというちょっと高いところに住んでいて人間を見下ろしているようです。
こんな風に、9つの世界が宇宙樹のもとにあるのですが、死の国や火の国などもあります。


有名な神様オーディンなどはどこから来たんでしょう。巨人族はユミルの足を交差させると生まれたとありますが、オーディン達アース親族はどうやら氷から生まれているみたいです。オーディンは3人兄弟で、この3人が世界を作っていくというか、世界の秩序を作っていきます。ユミルを殺して世界を作ります。それが一番の大きな仕事。この3兄弟は木から人間も作っています。男女で違う木から作られてますね。


まあ、そんな感じで世界ができて、人間も作られ、神族も巨人族も、戦ったりしながら、生きていくんですが、ある日アース神滅亡の予言を受け、ついに光の神バルドルが巨人族のロキによって殺されてしまいます。そうして最終戦争。ラグナロクと言われています。時には神々の黄昏とも呼ばれています。ばーっと戦争が怒るんじゃなくて、光がなくなって、寒く冷たい日々が続き、イライラが募って戦いを始めるようになったみたいですね。


で、この戦いで、ほとんどの神様や巨人が死んでしまいます。
北欧神話で活躍するオーディンやロキや、フレイヤやフレイなども皆死んでしまいます。これが世界の滅亡です。


ですが実は続きがあります。すごい長い時間がたった後、沈んだはずの大地が海の中から浮かび上がってきて、木々が茂る大地になり、穀物も実っていたそうです。オーディンの息子がラグナロクで生き残っており彼らはその世界で暮らします。また、死んでしまった光の神バルドルはよみがえってまた地上を照らすようになります。
人間たちも滅びてしまったはずですが、一組の男女が木の間で露をすすって生き延びていたそうです。ここから人間も発展していくんだそうです。


この後に、北欧神話の登場人物であるアース神族、ヴァン神族、巨人族の主要な人?物の紹介があります。このために非常に北欧神話が砕けてわかりやすくなりました。
この後に、いろいろな説話、伝わっている伝説などがあって、北欧の神様の生き生きとした人間的な様子が伝わってきます。他の古い神話と比べると、神様たちの道徳心が高く、しっかりしている神様ばかりですが、人間的で、喧嘩もするし、一目ぼれもするし、女装もします。男女の神様がいますがなんで女装?まあこのあたりも面白い話なのですが。


そのあとに北欧神話の文化が紹介され、ルーン文字が紹介されていました。聞いてはいましたが、こういうものだったのかというのは初めて知りました。やっぱり海洋民族っぽい伝統が色濃く出ていますね。ヴァイキングたちが使っていたんだそうです。ちなみに、近代になるとヴァイキングはフランス語をしゃべるようになるんですが。
巨人の持っているツールの紹介もあり、最後の章はラグナロクの事です。世の終わりを書いたけれど、これは、すでに起こったのか、これから起こるのか、今起こっているのか、それはわからないんだそうです。だから、神話の中で人間が出てきても、その人間と北欧人のつながりがよくわからないのです。


私は、今まで、ラグナロクで生き残った人間が、北欧人の祖先と思っていましたが、そうでもないみたいです。まだラグナロクは来ていないのかもしれないのです。人間がこうやって生きている上の世界で、神様は戦ったりして、戦いで死ぬとヴァルハラという館に魂の半分が到達してそこでまた戦うんだそうです。なんだか不思議な世界ですね。


ということでとってもわかりやすく、生き生きとした北欧の神様の世界を見せていただきました。グレンベックの本を読もうかと思っていたのですが、大体この本で分かっていれば、グレンベックの本を読んでもよく理解できるでしょう。


次はイタリア文学です。

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