ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「花髑髏」横溝正史

横溝作品と言えば金田一モノですが、そうじゃない別の探偵さんを使った作品があるのだと最近知りました。2020年にドラマ化されたそうですが(されたのか?見てないからわからないけれど、コロナで撮影が進まなかったとかありそうですね)、もう一人、有名な探偵が出てきます。その名が由利麟太郎!


金田一モノと言えば、日本の地方にいって、村社会的な閉鎖的な社会文化や、一族を大事にする家中心主義みたいなものとつながりのある殺人事件が多いのですが、こちらの由利麟太郎は東京中心という感じがします。と言っても1冊しか読んでいないのでわかりませんが、この1冊には3編の探偵小説が入っていて、いずれも、昭和初期、私の大好きな時代のにおいがします。


金田一君が若い探偵なのに対して、由利麟太郎はもう引退した白髪のおじいちゃん探偵。ドラマでは吉川晃司がシルバーグレーの由利麟太郎を演じたようですが、読んだ感じではイメージが全然違っています。もっと高齢の、70代くらいの、だけど矍鑠としているおじいちゃん探偵のイメージでした。由利麟太郎はあまり動きません。動くのはその仲間の三津木俊助君。彼は若手敏腕新聞記者。


3話ありましたが、うち2つは「一人二役」が事件解決のキーになっています。前に探偵小説のパターンは3つあって、一つは「一人二役」一つは「密室殺人」もう一つは「顔のない犯人」だったと思いますが、その中でこの「一人二役」が使われた普通の探偵小説だったら、まあまあとそれなりに読んでいたのですが、びっくりなのは、一人二役でも、男女入れ替わりがあったことです。ひょっとしたら…と思いましたが、最初の作品(一番長くて一番入り組んでいる)『白蠟変化』では美少年が出てくるのですが、これが実は美少女だったり。いつ書いたんでしょうか、わかりませんが、これはアニメ化もドラマ化もできないわと思いました。


麟太郎と言えば、私は法水麟太郎のほうがなじみがあって人間的にも好きなのですが(小栗虫太郎ね)、こちらの由利さんはあまりキャラがたってません。金田一君みたいに面白い人じゃないんです。だから由利麟太郎シリーズは、キャラや人間関係を読むというよりは純粋にトリックを楽しむ作品群かなと思ったりもしています。


うん。やっぱり金田一シリーズのほうが面白い。これは確実に言えるけれど、戦前の東京を描いていたり、当時の世相や都市生活者みたいなものを見出すには、由利麟太郎シリーズも面白いと思います。


本のタイトルになっている『花髑髏』では、親が殺された後、かたき討ちをしたらその相手の血を親の髑髏にかける、というような江戸時代の風習?が出てきます。なんのトリックも考えないで読むと、それを知っていれば最初から犯人はだれかわかります。ですが、ここも一人二役、しかも男女入れ替えというのがあり、惑わされました。花髑髏という美しい?言葉にも関わらず、これはかたき討ちの物語ではあったのです。ただ、犯人は由利先生に挑戦状的な手紙を出したりしていて、一連の殺人の予告をしており、由利先生はそれをすべて防げたわけではないのですが…。


あと、犯人が実は被害者の一人だったというのも、探偵ものでは良くあるトリックですよね、それもここでは使われています。最初から、由利先生と三津木助手以外の誰もが犯人である可能性を持ちながら読んでいくと、なかなか頭を使って面白いです。それにこれは短編集で短いストーリーなので頭の体操になります。


なんだか時間をたくさん取って探偵小説の研究でもしたくなりました。次はコナンドイルとかもちゃんと読んでみたいですね。シャーロックホームズとか、実はちゃんと読んだことがないんです。多分若い頃に読んでいると思いますが、今読むとまた違うのではないかと思います。


この1週間で実は2冊本の衝動買いをしてしまいました。一冊は三島由紀夫、一冊は「ゴシック文学」に関する本。2冊買ったから、今月中にあと1冊くらいは読み切りたいなあと思ったりしていますが、あと5日か…。うーん。無理だな。ピアノも練習しないといけないしアニメも見たいし。


いつまでたっても「魔の山」にたどり着きません…もうすぐそこまで来ているのに。
とりあえずピアノの発表会までは読書時間を減らして練習時間を増やすということで頑張ろうと思います。

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