ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「神秘学マニア」荒俣宏

結構古い本です。


神秘学と言いますか、神智学といいますか、そっち系統に私は興味があって、というのは私が敬愛して音楽の神とあがめるスクリャービンがそういう系統のことに興味を持っており、もし健康でお金があったらインドに行きたいとまで言っていたくらいですから、相当な入れ込みようだったのだろうと思うのです。


この本は、いわゆる「オカルト」専門書です。つかみはよかった、イギリスの幽霊ツアー、ナチスと超人願望、それから魔都トリノについての興味深い記述。そしてシェイクスピアは我々の魔術師だと断じるところ。この辺までは面白かったです。


それから「オカルト」の歴史に移ります。このへんからややこしくなってきます。が、まだ簡単です。ピュタゴラスの活動や思想から入って、超能力や超常現象がいかに知られどのように扱われてきたか、ということなので、まあ、普通の西洋史でも読んでいる感じです。


あと、数の不思議ですね。4は神秘数として知られ、10は完全数(1234を足すと10になるから)いろいろな数に意味づけされていたということ。中世のヨーロッパはそういう占いなどがあったらしいですね。元はバカラとかそっちから着てるみたいですが。もちろん、荒俣宏さん、ユダヤ教も取りこぼしていません。
新たな知識が増えてとても楽しく読めました。


現代になっていくと、いろいろ複雑で。例えばLSDの問題。LSDは脳の開花していない部分を開花させるからいいものなのだと信じている人たちがいたり、カンフーのプロ、彼らが西部劇のヒーローにとってかわられたり、そしてそのカンフーは神秘主義的なものとアメリカではとらえられていたり、新興宗教の問題が出てきたり。


神秘学では新興宗教は避けて通れない分野ですが、わかりやすく説明してくれました。カルトやセクトとは違う、「キリスト教ではない智」を中心に据えた新しい集団が新興宗教なのだと思っています。日本のうさん臭い金儲け主義の新興宗教とはどうも違うみたいです。


面白かったのは、神秘学としてのコンピューターという最後の章でした。私はコンピューターの発明は、フォン・ノイマンと思っていたのですが、01で物事を考える、陰陽で物事を表す、そういう思想はかなり昔からあったらしいのです。ドイツのライプニッツが中国陰陽思想に興味があって、そこから二進法算術を表現したのだそうです。二進法表現とはコンピューターにほかなりません。0か1かですからね。もとは易経のシステムだったらしいです。そう考えると、コンピューターは、できるべくしてできた人類のツールのような気がしませんか?


神秘学とは古代から世界の暗部を支配してきたと言われています。だからと言って、アンチキリストなわけではないんですよ。フリーメーソンだって神秘学的なところがありますが、決してキリスト教に敵対はしていない。なにかミラクルな物を扱うのが神秘学であって、奇跡や心霊術も入ります。スクリャービンは恍惚の世界の神秘を音楽の中から発見してしまったため、神秘学に惹かれて神秘的な曲を書いています(ピアノソナタに黒ミサ、白ミサというのがあるくらいです。ほかに詩曲「炎に向かって」とかも神秘的です)。
私はオカルトというのはインチキだと思っている部分もあるのですが、科学では解明できない、サイキックな出来事を認めています。例えば私の母はちょっとした予知能力があります。私も、人の残留思念がわかることがあります。
奇跡も、信じています。奇跡に満ち溢れているから、私はここまで生き延びれてきたんだと思っています。自分の周りは奇跡でいっぱいです。


しかしこの荒俣宏さんという人はすごい人ですね。弟子入りしたいです。私は物覚えが良くないので(子供のころ、覚えることを放棄しました。知識はどこか探せばある、だから覚えることはない、と思って)、知識でいっぱいの頭の人は尊敬します。やっぱり覚えることを放棄したら本は書けないですね。本を書くために今から知識の人になろうかしら。頭空っぽだから、引き出しが空っぽで、今から入れて行けば死ぬまでにパンパンになると思います。


神秘学は今後も追い続けていこうと思います。
ちょっと疲れたので、柔らかい本を次は読もうと思います。久しぶりに横溝にしよう。

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