ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

ショパンコンクールファイナル最終回+結果発表

今日は出勤日でした。1時間早く行って計算機を走らせてから、出勤のタイムカードを押す前に、昨日のショパンコンクールのファイナルの4人のうちの一人を聴いて、昼休みに一人聴いて、帰ってきて二人聴きました。


以下、その感想と、そのあとに、入賞者を書きます。


一人目。日本人女性。音がうっすい。繊細で、良く仕上げてあるんだけど、オケがかなり抑えないといけないくらい、音の特徴がないんです。曲はop11のほうです。こちらの方が弾きやすいし、通る確率も高いと思うけれど、うーん、まとまりはいいし大きなミスもないんだけど、ちょっとこう…正統派すぎる感じですかね。


二人目。ポーランド人。この方のタッチがかなり強くて、自由に歌うので、余計に一人目の日本人の音の薄さが目立ってしまいました。この方はかなりキャリアのある方で、音が丸くて、良く歌っていて、良く淡い色を出していたと思います。この表現力、なかなか日本人にはまねできないでしょうね。うっとり。と聴いていたら、3楽章の左手でじゃんとやるところで痛恨のミス。音楽の流れを変えるくらいの和音の間違いでした。でも本人もオーケストラも動じることなく音楽は続いていき、最後の最後にはそのミスなんか忘れさせてくれるほどいい演奏をしたと思います。


三人目、韓国人。カワイのピアノでop21のほうを弾きました。男性なのですが、非常に豊かに歌えているけれど、ああカワイの音だなっていう感じが最後までぬぐえなかったです。音が大き目で、はっきりしているのですが、ショパンに明確さは求められないので、ちょっと方向性が違うかなと。でもすごく上手でした。


四人目、中華系カナダ人。ダンタイソンの弟子だそうで、ファッチオリでしたが、最初から音が違う。今日聴いた3人の中で一番いい音をしていました。キラキラしすぎない、抑えた感じの、淡い色の使い分けが大変上手な演奏でした。ショパン的な歌い方で、良く勉強されていることがわかります。ファッチオリはどうしても高い音できらきらしすぎてしまうのですが、この方は低音まで印象的にきれいに弾いていました。バランスも良く、引っかかるところが全くなかったです。ミスもほとんどなく、すごく完成度が高いなと。


というわけで、この後、ファイナリスト12人のインタビューとかもあったんですが、それは飛ばして結果発表~!


6位・カナダ人17歳ダンタイソンの弟子、J J Jun Li Bui君!17歳でこれは快挙です。
5位・イタリア人でファッチオリをバンバン弾いてた女性、Leonora Armellini。
4位は二人。はじめ聞き取れなくて、何か別の賞が入ったのかとびっくりしましたが。
一人目は今日のミスをしたけれどいい演奏したポーランド人、Jakub Kuszlik。この人が入ったことで、大きなミスをしても、審査全体にはそれほど響かないんじゃないかと思わせてくれました。
2人目が、日本人女性、小林愛実さん。繊細な演奏を聴かせてくれました。前回もファイナルに残って、今回入賞してくれて本当によかった。評価のポイントはきっとその繊細さと丁寧さにあるのだろうと思います。
3位・私の一押しスペイン人Martin Garcia Garcia。彼はねー本当に、もう一番でいいと思うんですけどなんで3位なんですかねえ。誰よりも楽しい演奏をしたと思いますよ。ファッチオリをいい意味で操っていました。
2位は二人いました。
一人目は、イタリア―スロベニアのAlexander Gadjiev。おっさんって言ってごめんなさい。この前の浜松で優勝した方ですね。彼は細かいミスが多かったんだけれど、カワイのピアノで、いかにもヨーロッパ的な広がりを持った音楽で、ちょっとスラブ的な発音で、いいショパンを弾きました。個性的です。
二人目は、日本人。反田恭平さん。この方がここに入ってくるとは、私としては予想外でした。というのは、特に引っかかるところがなかったのです、いい意味で。大きなミスもなく、ショパン的かと言えばうーんスラブ語系の影響は受けてるなと思いつつも、ほかの個性派の演奏家に洗脳されていた私の感覚からしたら、この方の評価は入賞はするだろうけれどそこそこのところかなと思っていました。良く勉強されているようで、完成度は高かったので、その点が評価されたんでしょう。
1位・中華系カナダ人、ダンタイソンの弟子で、今日のトリをつとめた、Bruce (Xiaoyu) Liu。この人は文句なしでしょう。ファッチオリのいい面だけが綺麗に出ていた弾き方でした。っていうか一位じゃない理由が思いつかないです。


以上の通り、4位と2位に二人ずつと、入賞者が8人(12人ファイナリストがいました)も出たことは、全体的にレベルが高かったんだろうと思います。個性派と言っていいイタリア人二人とスペイン人が高い順位に入っているところを見ると、審査の方向も、正統派ショパン的なヨーロッパ的な音楽を押す人と、個性的で新しい音楽を押す人と分かれたんじゃないかと思います。


それ以外に特別賞があります。
ラジオ・ポーランドが贈る、ベストマズルカ賞にポーランドからJakub Kuszlik。まあ、ポーランド人ですからね、3rdステージでいい演奏を見せていました。
ワルシャワ・オーケストラが贈る、ベストコンチェルト賞が、スペイン人のMartin Garcia Garcia。いやっほう!
Krystian Zimermanベストソナタ賞が、イタリアースロベニア人のおっさんと呼んでごめんなさいのAlexander Gadjiev。3rdステージで3番ソナタを弾いたのですが素晴らしかった。余裕のある演奏を見せてくれました。
本当はこのほかに、ベストポロネーズ賞というのもあるのだそうですが、今回は受章者はいないそうです。


ピアノの順位は以下の通りになります。
6位・カワイ
5位・ファッチオリ
4位・スタインウェイ479
4位・スタインウェイ479
3位・ファッチオリ
2位・カワイ
2位・スタインウェイ479
1位・ファッチオリ


総合的に見て、ファッチオリやっぱりいいんじゃない?って感じです。本当はファッチオリは明るすぎて、太陽のギラギラするような音が出るんですが、ショパンコンクールの演奏家たちは、よく耳で聞いて、セーブして、ショパンの音はこうだったんだろうなと想像しながらきれいに弾いてくれました。


22日から24日にかけて、1位から3位の人のガラコンサートがあります。22日の日本時間午前2時から1位の人の、23日の午前2時から2位の人の、24日の午前2時から3位の人の演奏が聴けます。ライブ配信されるので、今から楽しみです。


最初は500人ほどの応募があり、ビデオ審査が2019年から始まり、ワルシャワで演奏できたのは151人で、予選通過者が87人、そのうち9人が世界のほかの有名なコンクールで入選しているので、予選無しで本選参加となったそうです。そこから3つのステージを経て、ファイナルに残ったのは12人。この12人はほとんど皆さん誰が入賞してもおかしくないレベルだったと思います。


いやー。楽しかった。
日本人が2人も入賞したのは大変喜ばしいことです。日本人こそカワイを使ったらよかったのにと思うのですが、日本国内向けのカワイピアノと、欧米向けカワイピアノは、製造過程から分けられているそうで、欧米向けのカワイは工場でちゃんと乾燥させシーズニングを行いアルミでぐるぐる巻きにして湿度を低く保ったまま輸出されるそうです。日本のカワイは、そんなことしないので、まあ、普通のピアノです。欧米輸入版のカワイも弾いてみたくなりました。フランスでもカワイはよく見かけました。フランスとイタリアはヤマハよりカワイの方がメジャーなのだそうです。


世界が注目する若手の登竜門であるショパンコンクール、また4年後?5年後?本当は2020年に行われるはずだったのですが、一年伸びたので今年になってますが、普通なら4年後ですかね、今年入賞できなかった若い中国人やアルメニア人が、変身したように上手になって戻ってくることを期待しつつ。


以上。

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