ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

舞台「ヴィンランド・サガ」見てきました!

母が1日から4日まで来るらしい。
12月に発症して半年と言われていたので、今頃は病院だろうと思っていたのですが、元気です。でもいつ何があってもおかしくないですからね、注意しておかないと。


今日は10時くらいまでゆっくり寝て、チケットを引き取って、劇を見てきました。
アニメで「ヴィンランドサガ」にはまってしまった私…実は、原作はまだ読んでません(!)。でも、ここのところ好きなアニメトップ3に入る名作です。これが舞台になっているそうで。


アニメや漫画作品が、顔のいい(しかしお芝居や歌はあかん)若い役者さんによって舞台化されるのは、2.5次元作品というのだそうです。2次元は紙の上?3次元は、実写版?アニメはどこなんだろう…まあそれはいいとして。


さて、小中高演劇人間で、下北沢の屋根裏を徘徊していたくらいお芝居にはまっていた私としては、お上手ではない、顔の良いだけのなんだかわからなもんは見たくないと思っていたし、好きな作品だから、それがひどいことになっていたらとても残念に思う、というので、見ないでいるつもりだったんですが。


見に行った人から、「あれはそんな枠=2.5次元で収まる芝居ではない、だまされたと思ってみてみなさい」というのでじゃあ行くか。と。
本当は今日は別の用事があったけれど、前日にギリギリチケットが取れたので見に行った。


凄すぎた。
アシェラットさんがまんまアシェラットさんだった…役者の方がおいくつくらいかわかりませんが、この人は、今まで舞台の世界で頑張ってきた相当の実力者だと思う。とても難しい、賢いことをにおわせ、同時に陽気で非人道的なところ、教養と品格のあるところ、いろんな顔を、同時に使い分けていく役だから。こっちから見たら、悪人、こっちから見たら、智恵もの、そういう難しい役で、アニメではすごく成功していて、それは役者さんの力もあったけれど、作者さんの微妙な書き分けやストーリー上でのトリックがあった。


それが、完璧だった…。あっけにとられた…。


もちろん、主人公であるトルフィンと、クヌート王子、この二人の対比、そして、愛とは何か、父と子、というテーマはじんじん伝わってきました。わかりやすく。その外にいて、静観し、戦いだけに乗り出していく、作法の理解者であり特別な哲学者であるトルケルが、はまり役でした。このひょうきんな暴力物を、この舞台は立派な哲学者にした。


殺陣もすごかった。戦いの描写の工夫、それ以外の演出上の工夫、どの方向から見てもその場面の意味がはっきり分かる、巧妙なトリック、なんもかんも、よく出来すぎていました。


最後は、トルフィンの絶望(今まで絶対に親の敵として殺してやると思っていたアシェラットが別の人に殺されたこと)と、神の楽園ではなく地上に楽園を実現する強い決意を見せたクヌート王の、大変に力のあるシーンでしめられ、なんかもう盛り上がったところで、あ、そうか、これはここまでの話なんだって、理解したんです。


アニメでもここまでは理解できていなかったかもしれない。原作を読めば理解できるかもしれないけれど、トルフィンとその父、その父の敵アシェラット、クヌート王子と父王、そして人間(子)と天の父(神)の関係性はここで答えというか、今後の方向がはっきり示されていた。


確かにこの後の話は、主人公トルフィンが、人間に戻ろうとする話になっている(アニメ第2期)。人として戦いのない平和な場所を求める自由、それを助けてくれる仲間、そういう意味では、そのあとにつながる、私がまだ見ていない、読んでいない部分にきっとつながっている(見たいけど、絶対はまるから見ないでいます)。


そのあたりまで予測して、この舞台にはちっとも顔のいいだけのお芝居のまずい人は一人もおらず、全員が本当にバイキング時代を命がけで生きていたような適役であったし、全員が、命を削って演じていた。


音楽家もそうよ、なめた演奏なんて人前でできないけどソロをやる場合は、精神をゴリゴリに削って、あと1ミリの薄さしか神経がなくなるくらいまで、どうしたいか、どうするか、練習する。
普段はあほっぽく、演奏会前~ぎゃーーーみたいに言っていますが、自分がショパンに届くため、自分がスクリャービンに、聞いている人を触れさせるために、めっちゃ努力してるんです。
そういう本気を、今までいろいろ舞台を見てきましたが、どの舞台よりも感じたわけです。


びりびりが止まらない。続きやってほしいけれど、アシェラットさん死んじゃったからなあ…。でもあの役者さんは本当に素晴らしかった。一番命を削って演じていた。


舞台はお久しぶりだったので、今回の役者さんの誰一人も知りません。でもここに、こんなすごい人たちがいたのだと。本当に歴史に残る舞台だと。


カーテンコールになんと漫画の原作者が出てきました。
幸村誠さんはプラネテスも書いてましたね。宇宙関係者からは割と批判されるプラネテスですがものすごいいい作品で、パリにまで私は漫画を持ってきましたよ。アニメ化もされている。
喋りがうまいね~。
あ、一応名誉のためにいっておくけれど、プラネテスはとても素晴らしい漫画で、アニメも素晴らしかったです。宇宙のごみを回収する仕事をしている人たちの話なんですが、まあ我々からしてみれば、それは、当時の知識では不可能なことだったし、高さどこ?って感じで、理科系の人には疑問視されたのです。大気圏上100㎞と400㎞では全然話が違うんです。あ、宇宙ステーションは400㎞くらいの高さですが、全然、宇宙じゃないんですよ。あれまはだ熱圏と呼ばれる地球大気の中です。


プラネテスはほんとうに美しい話だったなあ…。作者の訴えるところがよくわかる作品だったと思います。
あーその作者を、直に目にできた、その声を聞けた、なんという僥倖!


明日から幸せに仕事ができます。


細部語らせたら明日の夜まで語れると思いますが、本当に細部まで素晴らしかったし、安っぽさがなかったし、欺瞞がなかった。脇役の一人ひとりまで、素晴らしかったです。


久しぶりにいいもんみたな~。
元気もらいました。
私も命削って、次の昨比を作ろう。命削って、今年は母に捧げるショパンを完成させ、絶対に試験をパスしようと思います。


というわけで。
GWですが明日から3日間仕事。そのあとレッスンとか。
その翌週はヴァイオリンです。これも、今までかなりなめた参加方法してましたが(初見で参加するとか…)長年の経験が分かるような演奏をしようと思います。


頑張ります!!

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