ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

ヴィオラと私

私はそれまでヴァイオリンをやっていたのですが、大学4年生の時に、なじみの楽器店に行って初めてヴィオラに触りました。おおきい~。18万円の安物スズキヴィオラで、いい音は全然出なかったんですが、その場でその楽器店でいきなり弦楽四重奏が始まり、私は初めて持った楽器で初めて読む楽譜で(ヴィオラの楽譜はハ音記号なので、普通の楽譜と違います)、ヴィオラで参加しました。まあ、ベートーヴェンの初期の作品だったから、刻みとか、伸ばしとか、いわゆる伴奏ばっかりで、初めて読む譜面でもなんとか読めたんですけどね。


それがヴィオラとの出会いでした。
翌週もその楽器店に行って、また弦楽四重奏が始まりました。また私はヴィオラに。安物の18万円の楽器です。その楽器店にはもうちょっと高いヴィオラもあったんですが、それは大きすぎて私には弾けなかったのです(ヴィオラはサイズバリエーションがものすごくあるので、特に女性は適切なサイズを探すのが難しいのです)。


2回目に弦楽四重奏に参加した日の帰りに「今度第九のヴィオラのエキストラやってみない?」と誘われました。楽器はお店のを使っていいからというので。第九はその時まだ弾いたことがなかったので、やってみたい。卒論とかいろいろあったけれど、引き受けることにしました。


3回目にヴィオラを持ったのは、借り物の楽器で隣の市の市民管弦楽団に行った時でした。事前に楽譜ももらっていなかったので、初見です。でも第九はヴィオラにやさしく(というか、おいしく)作られている曲なので、初見でもすぐ弾けました。ベートーヴェンは実はヴィオラが好きで、運命でもヴィオラにおいしい旋律を弾かせてくれています。


第九を弾いていたら、隣の人が別のアマチュアオーケストラの人で、「うちのオケに出てくれませんか」とお誘いを受けたので、それに乗ることにしました。で、その人のオケにいったら隣に座った人がまた別のオケの人で「うちのオケに出てくれませんか」と誘われたのです。お金もくれるから行くことにしました。


で。困りました。借り物の楽器でずっとやっていくわけにはいかない。ヴィオラ欲しい。というので、その18万円のヴィオラを買ってしまいました。大学4年生も終わりの方です。大学院の試験に受かった直後くらいでしょうか。


それから、ヴァイオリンのエキストラも結構いろいろ行っていましたが、ヴィオラのエキストラも増えて(というのは、ヴィオラをちゃんと弾ける人って少ないんです)、18万分はすぐに取り返せました。


大学院の時はいつもヴァイオリンとヴィオラをもって行動していました。東京にエキストラに来るのでも、夜行バスでヴァイオリンとヴィオラを持って移動して、二つ持って行き来していました。今思うと元気だったな~と思います。普通へとへとになりますよ。


エキストラばっかりやっていると、エキストラネットワークみたいなのができて、オケに所属していない人間が、各地の人数の足りないところのオケにお手伝いに行くのですが、私は暇な大学院生だったので、エキストラネットワークのおかげで東京でも関西でもたくさんのオーケストラに出ることができました。半分くらいがヴィオラです。就職してからはヴィオラを買い換えました。40万の安い、だけど特別なヴィオラです。裏板一枚なんですが、割れていて、本当なら売り物にならないのですが、元がいいヴィオラだったので、40万でもいい音がしました。それもすぐエキストラネットワークで働いて取り戻しました(エキストラ代は大体1回1万円くらいなので、40回本番に出れば40万は取り返せるのです)。


そんなこんなで、いろいろあってパリに来て、音楽学校に入りました。ヴァイオリン科で2年やって、ある時ヴィオラの先生に「君はヴィオラを弾いた方がいい」と突然スカウトされて、友達が日本に帰国して、またパリに来る時に、私のヴィオラを持ってきてもらったのです。それで練習して、結局音楽学校のヴィオラ科に5年在籍することになりました。


パリの音楽学校ではヴィオラの初心者だからというので、6学年あるうちの4年生から編入しました。卒業するまでに留年を2回したので、結局5年かかってしまいました。留年の原因はヴィオラが安すぎたことです。パリで働いてもいたので、途中で中国人作の立派なヴィオラに買い換えたら(バシュメット先生が選んでくれたという逸品!)すいすいとコンクールを突破し、クラスも上がれました。パリでは室内楽の要請が多く、特に、「日本人でヴィオラを弾ける」人というのは好まれたのです。日本人は練習をしっかりするし、練習にまじめに参加するからというので、あちこちの室内楽におよばれして、有名なオーケストラにも呼ばれたりしました。


2012年に日本に帰国することになった時、帰国後1週間目に地方公演があってそれはヴァイオリンで参加しました。両方やっていると持ち替えがスムーズにできていたのですが、それまで5年間ヴィオラだけだったので、ちょっとヴァイオリンを練習しなおしました。
帰国してしばらくはヴァイオリンでエキストラ業をやっていたのですが、自分の演奏会をすることが多くなって、じゃあ長年勉強してきたヴィオラのほうを…というのでヴィオラのソロをやることが増えてきました。めずらしがってもらえますからね。ヴァイオリンは聴いたことがあるとしても、ヴィオラってなかなか聞く機会がないと思うんですよ。珍しい物だと思ってくれると信じて、ソロではヴィオラを弾くことが多いです。


次は大きなコンサートは4月にあるみたいです。またピアノと、ヴァイオリンかヴィオラのどちらかです。伴奏者がいなかったらヴィオラでソロをやろうかと思っています。横浜でやるのかな?多分ですが、そろそろ話しが来る頃だと思うんですが…。


というわけで私とヴィオラの出会いでした。
今日は一日休んだぞ~本当に何もしなかった。「暗殺教室」というアニメ見てました。面白い~。殺せんせーが地球を破壊するつもりなのに、人間的でいい先生なんです。


明日は在宅勤務日ですから、家の掃除でもしようと思います(仕事は?)。

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