ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

コミックビーム編・河合克夫・某H大先生の漫画集

ご尊名を出すのがはばかられるほど私が心酔している、稀代の天才と信じて疑わない某作家H大先生の珠玉の短編が漫画化されて、それが単行本になって出版されていました。昨日アマゾンで発見してぽちり、今日届き、同窓会から帰ってきて読んだところです。


先日も描きました通り私は第二次大戦前くらいの時代の大衆小説が大好きで、このH大先生もその時代の名手でした。日本で最初に世界的に短編が認められた偉大な作家でもあります。その時代背景や、雰囲気をよく再現してくださった漫画家さんが、この河合克夫さんです。


絵柄的には大正趣味っぽい感じなのですが、決して美男美女は書きません。作者自身も一瞬出てきます。私はこの短篇を何度も読んでいるしオチもよく知っているから、その不気味さといいますか、夢と現実、この世とあの世の間の不思議な世界の感覚を、いかに書き出したものかと期待して読み進めました。


期待をいい意味で裏切ってくれましたね。H大先生のうんちくもきれいに昇華して、情景描写も当時の時代のものにのっとり、「あちらの世界」に取り込まれていく主人公、そしてはかなくその命、青春、セザンヌへの愛を閉じてしまう主人公の曇りのない目がしっかり描かれていました。H大先生独特の「人間のはかなさ」を、有り余る画力で示してくださいました。
現代漫画家としては、多分異色の方なのだろうと思いますし、私は河合克夫さんの漫画を初めて見たので、どうともいえないのですが、あのH大先生の世界観を、あますところなく大胆に、簡潔に、たくさんの人が理解できるように書いてくださったと思います。


こんな現代漫画家がいるんだなあ…ラノベとかメディアミックス系の漫画ばかりがもてはやされる時代かと思っていましたが、こういうちょっとデフォルメされたような絵を描く人もいらっしゃるとは、今という時代もなかなか悪くないなと思ったりしました。


30年来H大先生が好きすぎて全作品を読破している私としては、マンガ化するならもっと面白い作品はもっと他にあると思っています。今回、漫画化されている2作品のうち、1作品は、女性の電話口での一人語りが原作になっています。戦後の作品です。女友達というか、仲間にぐちっている作品なのです。ただひたすら女性の愚痴。それでもその原作を読んだときには、私の目にははっきりと事の成り行きの風景が見えた、そのくらいの名手、天才、いや、そんなもんじゃないですね、錬金術師、いや、魔術師なのですが、それを漫画作品ではありありと、リアリティたっぷりに表現してくれていて、ヒステリックな女性も面白くデフォルメされていて、大変読んでいて楽しかったです。


今後もこの漫画家さんの作品は読んでみたいと思います。願わくばH大先生の作品の漫画化、あれとこれとそれをやってほしいな~私がネームを書きますので、絵を入れてほしいくらいです。


興味がある方は探してみてください。

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