ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「シュメールー人類最古の文明」小林登志子

シュメールは、人類最古の文明であり、現代ヨーロッパの思想の根底にも受け継がれています。それは、旧約聖書の物語や記録に、シュメールの文化のものがちょこちょこと出てくるからです。


シュメール文明の地は今のイラクあたりです。あのあたりで人類最古の文明が生まれたんですね。岩石のない沖積世大地で、農耕は可能だったと思います。石造りの大きな神殿などは残っていないようですが、泥煉瓦でつくったジグラトと呼ばれる、バベルの塔みたいなものは結構残っているようです。


文字の始まりもシュメールでした。紀元前3000年くらい?最初は何かのマークだったようです。シュメールで最も有名な楔形文字が完成したのは紀元前2500年くらい前。中国よりも前です。すごいなあ。文字があるということは記録するものがあったということでしょう。例えば農作物の収穫量とか分配量、刑罰の決まり、法律など。紀元前2500年なんて日本列島に文明のかけらもなかった時代ですよ。早いですね。


この本では、とくに「はんこ文化」について記されていました。世界でも日本だけがはんこ文化ですが、シュメールはもっとはんこ文化だったらしいのです。といっても、押す奴じゃないです。円筒形の細い筒の側面に図柄(その人の立場を示すもの)が入ったものを、粘土板の上で一回転させて(時には数回転させて)所有者を表したりするのだそうです。ルーブルなどでたくさん見たことがありました。そこには楔形文字も刻まれていて、偉い人はたいていそういった円筒印章を持っていたようです。粘土板文化だったからそれは有効だったのですね。


ハムラビ法典の前にも、法典らしいものがあったようです。紀元前2100年前にできた「ウルナンム法典」です。ハムラビ法典は、目には目を、歯には歯を、で有名ですが、もともとのシュメールの法律はそうではなく、相手にけがをさせたら、相応の金額を支払うという法律でした。そんなに過激ではなかったんですね。


それから、天国や地獄の思想も、まだシュメールのころにはなかったみたいです。天上界、地上界、地下世界があり、死者は地下世界に行くといわれていましたが、昔の日本の黄泉の国と同様、在任が裁かれたりするような世界ではなかったようです。天上界は神様がいるところです。この辺の思想は、全世界的なんじゃないかなと思います(地下世界に神様がいるという文明は聞いたことがないです)


あと、シュメールの文化圏にはたくさんの都市国家があって、その間での戦いというのがけっこうあったのですが、昔の人たちは、殺した相手をそのままにするのではなく、ちゃんと塚を築いて弔っていたようなのです。今のアラブ人にはそういう思想は全くないですが、死者への敬意があったんでしょうね。日本人は特にそうだから、こういうところに共感を覚えます。


他にもいろいろ新知識を発見しましたが、いろいろありすぎて書ききれません。あまりに時代が古すぎて、旧約聖書に影響は与えているだろうけれど、どういう風に影響を与えているかまではわかりませんでした。でも、今から5000年前という昔から、文明が栄え、戦争があり、大きな墓が作られ、神殿が作られ、人々の営みがあったことは、本当に驚くべきことです。
シュメールの叙事詩「ギルガメッシュ叙事詩」を読んだことはないのですが、これはぜひ読んでみたいですね。


シュメールの遺跡や遺物はルーブル美術館に大量に保管されています。私も何度か見に行ったことがありますが、この本を読んで基礎知識をつけてから行っていればもっと楽しめたのになと思いました。


神様の話が知りたかったのですがこの本にはそういう話題はほとんど出てきませんで、シュメール文化全般についての案内書のようなものでした。神様の話は「古代オリエントの神々」で読んだので、それをまた読み直してみようと思います。


昭和初期→歴史→ときたので次はフランス文学に戻ります。


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