ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

代替医療を考える

最近、有名女優さんが、乳がんの標準治療をやめて代替治療に切り替えた、という話が広まっています。具体的にはハーセプチンやホルモン治療をやめ、体温をあげたり、糖質を控えたりする、代替療法に変更したのだそうです。


人の治療法方などはその人が決めればよいので、それはそれでご自由にというのが私の思うところですが、それが新聞や雑誌、ネットを使って広まってしまい、あたかも「標準治療」を凌駕する「特別治療」があるかのように書かれてしまうことを問題視します。



標準治療が確立されるには長い間の治験やデータ収集、医者の経験などが元になっていて、医者も、メニューのようにして「このような治療がありますがこれでいいですか?」と聞いてきます。私ははいはいと医者の言うとおり手術後は抗がん剤に放射線にホルモン治療を行いました。ただ、それだけで満足、安心したわけではありません。


民間療法・代替療法といわれている、基礎体温をあげよう的な本や、がんにならない食事の本など、いろいろ読みました。がんは低体温を好み、塩分が多い状態を好み、糖質を好み、ストレスを好むのだと、漠然と理解しました。なので、私自身、標準治療をやりながら、基礎体温をあげようと努力し、塩分控えめ、糖分控えめ、ストレスにならないような生活環境づくりなどを心掛けています。これは療法ではなく、生活習慣に他ならないのです。代替ですらないし、医療ですらないです。


生活習慣の改善だけでがんを予防できるか、といわれればそのデータがないのではっきりはいえませんが、標準治療をしながらでも生活習慣の改善はできますし、標準治療が辛くないのであれば、ぜひそれは続けたほうがいいと私は思っています。裏づけのある治療法に頼ったほうが、本人も、見ている人も、安心できると思うからです。


私自身体質改善のためにいろんなことを始めました。でもそれは標準治療を受けながらです。ホルモン治療は確かに辛いですが、慣れれば5年くらいは頑張れそうです。頑張れないような重篤な副作用が出た場合はやめたほうがいいですが。


それで、著名人、有名人が、「標準治療をやめて代替治療をしている」ということを大々的に取り上げられてしまうと、がん患者は悩むわけです。医者の言うとおりでいいのだろうか、民間療法にはいろいろあって効果があるものもあるじゃないか。ちょっと高いけれどこういう療法を検討してみよう…。高い治療のほうが優れた治療なんじゃないか。
検討するのは大いに結構だけれど、民間療法の多くはほんの一部の人に効果があったということだけで「効果があります・がんが治ります」と喧伝しています。現に、その療法での生存率、死亡率などの統計値は見当たりませんし、学会でも報告がありません。
生活習慣を変えただけでがんが小さくなった人がいたとしたら、それはその人の免疫力のなせる業で、誰でも免疫力に頼ることができるかというとそうではないのです。もちろん免疫力をあげて健康な生活ができるに越したことはありません。


わらにもすがる思いで民間療法に助けを求める方もおられると思いますが、その気持ちは理解します。もし自分が助からない状態だったら、そんな状態から持ち直した人がいるという治療法を聞いたら、飛びつくに違いありません。


けれど、まずは基本に戻って、標準治療というのは、普通の治療という意味ではなく、今までの医学的な見地から確立された最良の治療方法なのだということを今一度思い出して欲しいと思うのです。


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