ひまわり畑を夢見るブログ

40歳超独身女性です。2016年1月、乳がんとの診断。でも仕事を辞められない、いったんやめたらもう戻れない研究職です。仕事と病気と第2の職である音楽とうまく付き合って必死で生きていく雑多な記録です。

コエーリョ「ザ・スパイ」

最近角川から文庫化された、コエーリョの作品です。
珍しくスピリチュアルではない作品でした。
内容は、マタ・ハリとその弁護士の手紙です。手紙からマタ・ハリの生涯を描き、時代に呑み込まれ混沌のうちに処刑された「ロシアの二重スパイ」の真実の姿??と思われるものが書かれています。
彼女は、国民の目をそらすために、逮捕され、裁判にかけられ、処刑されたのですね。それまでのフランスのあらゆる作戦の失敗を、彼女の諜報活動のせいにすることは当時の世論からしてたやすかったようです。
彼女は最後にはその運命を受け入れて反抗することなく堂々と処刑されていきます。
2か所ほど、ドレフュス事件に言及されていましたが、ドレフュスはユダヤ人だということもあり、時代的にえん罪になってしまったのは仕方ないかなと。彼は島流しで済んだけれど(のちに無罪になっている)、マタ・ハリは銃殺刑、女性だったということと、彼女を弁護したり擁護したりする人が出なかったということが原因かと思われます。


ちょっと前に第一次大戦前後の本を読んでいたので、周辺事情はよくわかるのです。でも、例えば時代の混沌も、当時のパリの混沌も、ドイツの困った様子も、街の様子や国際情勢、いろんな国の人の国民性の違いなどが、うまく書かれていない気がします。フランス人やドイツ人やオランダ人が出てきますが、みんな同じふうに書かれています。まあ、一番ひどいなと思ったのはインドネシア駐在のオランダ人の元夫ですけど、この人は猟奇趣味というか、まあ、ひどかった。こんな人と結婚したら奴隷になってしまう。尊厳を徹底して傷つけられて、彼女はその後よく一人で立ち上がり、名ダンサーにまでのし上がったなと思います。
彼女がスパイ活動およびスパイ的な活動をしていた様子は、この作品には一切書かれていません。スパイにならないかと持ち掛けられ、スパイとしてのコードをもらったところは書かれていますが、その後すぐに彼女はスパイの道具である無色インキを捨ててしまいます。現実にも、彼女がスパイ行為を行った証拠は全く出てきておらず、逆に彼女の見方をしなかったラドゥー大佐が彼女の死後スパイ容疑で逮捕されます。コエーリョも彼女は冤罪で死んだと言い切っているようなものです。


彼女の写真はWikipediaで見ることができます。とってもきれいです。オリエンタルな感じがしますね。


まあともかく、コエーリョなりの解釈で彼女の人生が描かれている、という本でした。すぐ読めます。あまり得るところはないかもしれません。でもこういう女性がいたんだなということを知るにはいい機会でした。権利を認められていない時代に女性が一人で大舞台に上がるには、ずいぶん苦労したんだなと。その挙句スパイの冤罪で殺されるなんて、悲劇じゃないですか。でもこの本を読んでいても、全然悲劇性を感じなかったんです。
コエーリョが彼女に言わせている言葉で印象的だったのが「わたしの最大の罪は、男たちが動かしている世界にあって自由で自立した女だったということでしょう」というものですが、今の世でも、自由で自立した女性はやっぱり評価が下がります。結婚していないで一人で身を立てていると、それだけでおかしい人だと思われてしまいます。私もそんな偏見に満ちた目で見られることがありますが、そんなものはどうでもいいくらい、自由で自立していることが好きなので、やりたいようにやらせてもらいますよ。


さて次は何を読もう。読みたい本は枕元に山になっているんですが、ちっとも片付きません。ちょっと明るい本を読みたいです。


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