ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

文字よみすぎ

国際的なファンドに申し込むために、競争的資金に関するe-leaningの受講が必要で、それを朝からずっとやっていました。長い。こんなこと長々と読んでも、研究不正する人はするんだし、大学院生やポスドク教育がしっかりしていなければ、競争的資金の不明瞭な使用だってなくならない。いまさらe-leaningで長々とやったところで、研究者的倫理観をどうこうできるもんではないですよね…。ひとつのセクションの読解とテストに30分かかり、それが8つくらいあるので、今日一日かかってしまいました。今日出来た作業もあるだろうに、なんだったんだ今日は。


そんなこんなでたくさん文字を読んで疲れていたけれど、ヴァイオリンの練習を1時間だけやって、あとは読書していました。2日間でスクリャービンに関する本を読了。私、ちょっと誤解してたかもしれなくて、訂正しなければならないです。
スクリャービンは生涯にわたってピアノソナタを書いたので、ピアノソナタをたどることで彼の一生が分かるんですよ的なことを書いたかもしれませんが、それは完全には正しくないです。10曲あるピアノソナタのうち、後期の6,7番と、8,9,10番は、同じ夏にかかれたものでした(前者は1911年、後者は1913年)。それにしても、まったく曲想にかぶるところがなく、6番と7番は人間が違うと思われるくらい違っているし、さいごの3曲も、確か8番が一番最後に出来上がったんだと思うのですが、まったく違う期間に作られたといってもおかしくない違いっぷりです。すごい発想の豊かさ。でもちゃんとスクリャビン的な神秘主義が見られて、どれも大変魅力的です。


スクリャービンの作曲期間を前中後の3期に分けると、前期はピアノソナタ3番までです。まあ、ロシアのショパンという感じなのでしょうか、曲としてもつかみやすいです。耳に心地いいといいますか、スラブ的なところを残しつつ、ショパン的なロマンチックな感じです。ただ、左手の超絶技巧が気になります。この点も調べました。
ピアニストとして出発したスクリャービンですが、実は子供の頃交通事故で鎖骨を折っており、その影響で右手に麻痺が残っていたそうな。そのせいで、右手は練習しすぎると動かなくなったりしていたということらしいです。そのため、左手は練磨に練磨を重ね、超人的な名人芸的な左手技術の曲を生み出していた、と思われます。ピアノソナタ2番も3番も、やりすぎっていうくらい左手が難しい。CDなどではよく聞こえないけれど楽譜を見ると青ざめるくらい難しいです。
中期はピアノソナタでは4,5番。比較的聴きやすい、現代音楽が好きでない人でも面白いと思ってもらえる曲です。ジャズが好きな人が結構好んでいるのもこのあたりです。私は特に4番が好きで、これゆえにスクリャービンが最高の音楽家だと思っているのですが、どちらも技巧的には大変凝っていて、弾くのは大変です。鍵盤の上で運動会しているような感じです。ただ、調性もあるし、まだ古典主義的な影響は見られますね。
後期は6番から始まります。6番は、あまりに悪魔的なので、作曲者自身、最初はちょっとは弾いたのですが、後に「怖い」といって封印してしまいます。多分ピアノソナタの中で最も難しいのは6番だと思います。というか、後期はどれも難しくて比べられないのですが、自分の感覚では、6番が一番難易度が高いと思われます。
後期の作品については、全音で出ている楽譜に詳しく書かれているのですが、今の住居に後期の楽譜を持ってきていないので今説明できません。あらためて興味がある人がもしいるとしたら、解説してみたいと思います。


生涯、出版社にお金の無心をして暮らしたスクリャービンはなんだか太宰治に重なります。まあ、ちゃんと奥さんと内妻がいたので、身持ちはかたかったっぽく伝記には書かれているのですが、最後はパリかどこかのヨーロッパで女遊びをしてうつされた病気(梅毒?記述からするとがんっぽいのですが、Wikipediaでは虫さされになってますね)で亡くなっています。
長生きしたらすごいことやらかしてくれたはずです。音楽にとどまらず総合芸術的な、常人では考えもつかないことをしてくれたでしょう。構想は残っているのですが、どれも当時の技術力では現実不可能なすごいもの(たとえば音楽に色を取り入れたり、2千人の出演者を想定したり、舞台はチベットに始まりイングランドに終る予定だったり)なので、現代に生きていたら、もっと面白いだろうなと、つくづく思います。ちょっと変わり者ですが、私は大好きです。ヴァイオリン曲などの弦楽器曲がないのが大変残念です。

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