ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

研究不正をやるところだった。危ない危ない。

我々の職業では論文を書いて、その論文が学術雑誌に掲載されます。
そこまでには、さまざまなプロセスがあります。最初は「こういうテーマで書こうと思う」と周囲に意思表示し、自分で図を作ったり、過去の文献をあたったり、計算をしたり、データをもらったり、テーマに沿った材料を集めます。


それから本文作り。英語で書くのが普通なので(むしろ我々の分野のことを日本語で書こうとしたら、相当な日本語力が必要)、慣れない英語で一通り書いて、図の説明や表の説明も書いて、本文と図表そろえて、まずは、民間の会社の英文校閲に出します。


大抵、「理系に強い」といわれている英文校閲でも、だめだめです。でも出さないよりいいかという程度です。文法的な間違いを正してくれたり、表現を教えてくれたりするので、少しはプラスになります。
ですが一番いいのは、同じ分野で英語が母国語の研究者に見てもらうことです。


そこまできて、共著者に了解を得て(時には共著を嫌がる人もいます)、いざ投稿。
1ヵ月後にレビューアーのコメントが返ってきます。大体2名のレビューアーが論文のいろんなところに注意を払ってコメントをつけてきます。コメントが返されるとき、よほどまずい論文だったらリジェクトされてしまいますが、まあまあ大丈夫だけどかなり心配な場合はMajor revision、ほぼ完成、あとは細かいところを直すのはminor revisionが必要といわれます。
私は今回Major revisionだったので、コメントの数も多く、新しく図を追加したりもしました。
レビューアーがコメントを書いてくれたので、レスポンスレターを書きます。「注意深く読んでくれてありがとうございます、あなたのコメントは本当に役にたちましたし、おかげで論文が良くなりました」みたいなことを書いて、コメントにいちいち返事を書き、書き直した論文と一緒にまた送るのです。


ここで私が思わず研究不正をするところでした。
というのは、レスポンスレターの書き方が分からなかったので、先輩方のレスポンスレターを見せてもらったのですが、その文章が定型文だと思って、最初の挨拶のところを丸写し(少しは自分の言葉でも書きましたが)してしまったのです。上司に「この英語はあなたの英語ではありませんね。これは研究不正の”濫用”にあたりますよ」といわれなければ、その定型文的な、私の英語ではない英語で、レスポンスレターが送られてしまい、あちらが気が付けば、不正とみなされていたところでしょう。


うっかりしてました。自分なりに書けばいいんですが、先人の書き残した立派な英文をまねしたほうが何も考えずにかけるので良いんじゃないかと思っていたのです。急いでいて眠くて判断力を失ったというのもありますが・・・。


ついうっかりやってしまうことって、あるのですよね。事故みたいなものです。
明らかに他人のデータや過去のデータの使いまわしで研究不正をしている人を見ると、研究なめんなよと思うけれど、うっかりやってしまったということもあるのかもしれません。
うちの研究所では研究不正に関する講習会などを開いて、広く教育されてはいるのですが、手紙でも研究不正に該当するとは思っても見ませんでした。深く反省いたします。


とりあえずあとは上司の判断待ちです。それをなおしたら、イタリアだ!
あまりにいそがしくてイタリア語の勉強がぜんぜんはかどっていません。
でも無事にイタリア行きの飛行機に乗れますよう、応援よろしくお願いします!


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