ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

「1Q84」村上春樹

長い!文庫本で6冊もある!私の歴史上、文庫本では最長です。


表紙にボッスの絵が使われていて、これは深い哲学がありそうだと思って手にしたのですが、期待してなかったけれど、まあ、それが正解でしたね。村上春樹大好きな人はごめんなさい。面白かったですけど、もっと踏み込めないのかと、あとご都合主義文学というのはこういうのを言うのだなと。伏線回収できてないし、ファンタジーとして片づけるならそれ相応の読者への納得のさせ方というのがあると思うのです。


いろいろ、現代社会、当時1984年はどうだったのかわかりませんが(覚えがないです)、世相を表しているような感じです。
新興宗教が出てきます。ヤマギシ会?だったっけ、を思わせるような。オウムを思わせるような団体も出てきます。エホバの証人たちを思わせるような宗教団体も出てきます。だらかといって宗教団体戦争みたいな物語ではありません。


かつて、とある宗教団体で生活していた一人の少女が、その宗教団体で起こっていた不思議なことを小説にして新人賞に応募してしまうのです。その下読みをした主人公(男)が、これはいい作品だということでリライトするのです。それが社会に出てしまうと、その宗教団体はいろいろ困るのです。なので、その主人公はちょっと厄介に巻き込まれます。


一方で、その宗教団体のトップは死ぬことを望み、殺されます。その殺人者である女性も主人公の一人です。宗教団体から逃れて隠れて生活していますが、かつて「証人会」というキリスト教系宗教の勧誘に子供のころ歩かされていた記憶を持っています。


先ほど書いたリライトしたもう一人の主人公は、父親がNHKの集金係で、毎週日曜は父親に連れられて歩かされていました。


この二人の主人公の交差点は小学校の時。それから20年たっているのですが、お互いがお互いを忘れられずにいるのです。
1Q84では、この二人の物語が交互に語られていくのです。


一種ファンタジーです。宗教団体のトップは超能力者だし、「空気さなぎ」なるものを作り出すリトル・ピープルは本当に存在するし、まあともかく1Q84年ではそんなことが起こっていたのです。


最終的に、主人公たちは、「1Q84」年から抜け出し、1984年に、戻ったかな?戻ってないのかな?決して同じところに戻ることはできないと言われているので、違うんだろうけれど、リトル・ピープルがいたり「空気さなぎ」がある世界から脱出でき、二人の主人公は結ばれるわけです。


あらすじをサラッと書くとこんな感じになるんでしょうね。リトル・ピープルは悪でも善でもなく、ただ死んだヤギや人の口から出てきてさなぎをせっせと作り出すんですが、その中に入っているのは、娘?分身?そんなものです。独特の呼び名がありますが。


ともかくくどくどしい。一つの表現をそんなに丁寧に描く必要があるか、ブランド名とかそれがどれだけよれよれな服になっているのかとか、本質に関係ない細部の記述が多すぎて、ともすると話の本筋を忘れてしまいそうになります。こんなに細かく書く作家はほかにいないのではないでしょうか。ただ文章は平易で誰でも楽に読むことができると思います。


私はオーウェルの1984を読んだことがあるので、それとの関連も探していましたが、別に関連はなさそうです。なんだかそういう意味では外れだったかなと思ったりもします。


ともかく早く次が読みたいと思わせる小説で、それはいい意味で先が読みたいのではなく、早く終わってほしいという意味でそう思っていました。おかげさまで私にしては珍しく1作品を1か月以内に読み終わりました。


それなりに楽しかったです。ジャズやクラシックのこともいろいろ書いてくれていたし、この作品からヤナーチェクの人気が出てくれれば、とてもいいことだと思うのです。


しばらく村上春樹はいいな…。
次は面白い、ピンポイントで私の興味のある本を読もうと思います。昔の本なのですが。

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