ひまわり畑を夢見るブログ

44歳の時、乳がんの診断。ステージ2。手術して抗がん剤とホルモン治療。仕事と治療の両立の生活記録を残します。

ケモブレインが良くなった話

ケモブレインであることを証明するのは大変難しいことです。
特定の化学物質があるわけでもなし、判定基準があるでもなし。
でも私は自分がケモブレインであっただろうと思っています。


「自分がケモブレインだと思っている」ことを論理的に医者に話せたので、ケモブレインではなかったのでは、と思われるかもしれませんが、医者に話す前に散々自分で考えてメモを取って順をおって話したので、いつもは要らないそういうプロセスを踏まなければ医者に何も伝えられなかったという点でケモブレインだったと思っています。


抗がん剤中から終了後1ヶ月くらいは、何かをしようと最初の行動を起こしたはいいけれど、一体何をどうしようとしていたのか、分からなくなってしまいました。逆に、何をしたらいいかぜんぜん分からないこともあって、そういう時は最初の一歩があれば、少しは物事が進みました。それから、大きな視点で物事を見ることが出来なくなっていました。例えば論文を書いていても細かいところには目が行くけれど全体の流れを考えることは出来ませんでした。結局全体が分からないから論文の細かいところもぶつ切りのような文章になってしまって、論文自体進みませんでした。研究も、大枠で自分のやらなければいけないことは分かっていつつも一歩も踏み出せなかったし、それを上司に相談したら役割を変えてくれて、上司の言いつけどおりのことは出来ましたが、そこから工夫するとか、何かを考え出すことというのはまったく出来ませんでした。


簡単に言うと、ある発想と別の発想が結びつかないという感じで、頭の中が常にあいまいとしていて、物事の関連性が見出せない状態だったのです。関連が見出せないから、頭の中は常に何も入っていない状況で、本も読めませんし、テレビ見ていても内容が分かりませんでした。あと、びっくりするくらい、ものや人の名前が出てきませんでした。ものの名前とそのものが結びつかない感じでした。


精神科医はこれは鬱の症状でもありうるということで、がんになってから鬱(診断書的には不安神経症で、症状は抑うつ状態)を発症した私にとってははたしてケモブレインであったかどうかはわかりません。


これが最近良くなってきました。
やはり手足を動かすのが良かったんだと思います。
上司に言われたとおりの計算や解析をしていたら、自分なりのやり方(例えば上司の言う解析方法では不十分だからもっと別の方法をとってみようとか、上司の指示したことは全体の研究のどういう位置づけになっているかとか、そういうことに考えが及ぶようになってきた)が出てきて、自発的な行動が増えてきました。
本も読めるようになりました。(ただし、寝る前に読むので、たいてい内容を忘れてしまう・・・しおりがはさんである3ページ前くらいから読み直さないと話がつながらないです)
さらに、語学の勉強も、中くらいの長さの文章を毎日書くことで、最初は本当にただ書くだけだったのが、ここ最近次第に覚えられるようになって来ました。


手を動かしたこと、読めないけど頑張って本を読もうとしたことで、だいぶ頭の霧が晴れてきました。何事もトレーニングなのだと思えてきました。
最近データを出すので昔のプログラムを見直して数値をいちいちチェックしていました。これがかなりの集中力を必要とする仕事で、最初は本当にわずかな時間しか集中できていなかったのが、最終的には5時間くらい集中して出来るようになったので、これも、トレーニングの成果かなと思っています。


3ヶ月でだいぶ霧が晴れてきた感じはします。
でも12月になっても会議をすっぽかしたり(一日間違えていた)、電車で立っていたにもかかわらず降りるべき駅で降りるのを忘れたり、曜日感覚がなくなっていてごみを出せなかったりということはあります。買い物も、「買い物に行かなければ」というのはあっても、何を買うかまでは考えが及ばないことがあって、無駄に買ってしまったりもしました。
まだ完全に治ったわけではありません。でも、明らかに、抗がん剤直後よりはずっと物事がはっきり見えるようになりました。


ケモブレインかどうかといわれると、分かりません。違うかもしれません。認知機能の低下が見られるといわれていますが、抗がん剤をすることで少なくとも精神的なダメージがあるので、単にそのダメージのために認知機能がうまく働かなかったのかもしれません。


何か明確な判断基準があれば、はっきりして職場でも配慮を期待できるのですが、今のところケモブレインかどうかを判断する基準はないようです。
うちの職場は理解があったので、少しゆったり仕事をさせてくれましたが、普通なら元気になるまで休職させられてしまうだろうと思います。


なにせケモブレイン(だったかもしれない)期間中は、頭の中があいまいすぎて何事にも自信を持てずにいましたが、今はちょっと良くなっている感じはします。
再発・転移の恐怖におびえつつも、今はもう私はがん患者ではなく「元がん患者」なのだと自分に言い聞かせています。こんな風に調子に乗ってると再発転移してしまうんでしょうけれどね、私なんか特にそうです、もう大丈夫だと思っていると大体大丈夫ではないという結末に行き着くパターンです。
でも今立ち止まったら来年就職活動も出来ないし、しっかりしなければ、と思っています。これもケモブレインが良くなったからそう思えるんだと思っています。


まったく論理的ではない作文で失礼いたしました。もし私がケモブレインであったらというスタンスで文章を書いています。


おっと。仕事しようとして出勤したのにBlog更新に時間を費やしてしまった。これから仕事頑張りますので応援よろしくお願いいたします。

×

非ログインユーザーとして返信する